風や土の見る夢。どこかでせき止められ踏み固められた時が作る幻。
ジオラマの核。ジオラマを象徴するもの。
ジオラマの意思の根源でありシンボルの行動原理。
そう言い切れるほどはっきりしたものではなく、漠然とした観念でありどう知覚されるかはジオラマによって異なっている。
─私はこの町を侵す病を根絶すべく突き動かされるように行動した。そうするのが自然で、それこそが私の存在意義だと確信していたんだよ。これを天命と呼ぶのだろうね。 【街の診療所のジオラマ】より
ジオラマたちを繋ぎとめ、結びつけるもの。
遠い昔、海の向こうからやってきた誰かがこの国を水仙境と呼んだ。
─うつつから離れ、己も夢であったことを知りました。昔は夢と現は混ざりあっていましたから、皆が一緒にいられたのです。
少し寂しいけれど、私はこれからもずっと、水仙境の歴史であり続けるだけです。
ま、時に果てなどないのですから、飽きることはないわね。
【博物館のジオラマ】より
水溜まりが何か言いたそうにしている。
聞く